予防メカニズムの仮説
今のところ、「糖質を制限するとヒトのがんの発症予防効果があった」とする科学的な論文(エビデンス)があるわけではありません。
ただ、がんの特徴として知られている生理学的事実から、いくつかの仮説が出されています。
まず、高血糖が発がんにつながる理由として、活性酸素の発生が疑われます。高血糖になると体内に活性酸素が発生し、様々な悪さをするのですが、これが細胞のDNAの傷害の原因になると考えられるのです。
後の項で詳しくお話ししますが、がん細胞は遺伝子であるDNAの複製ミスによって発生します。活性酸素はDNAを傷つけて、ミスを起こさせてしまうということなのです。
さらに、高血糖自体もDNAを傷害し、発がんの原因になる可能性があります。
また、高インスリン血症については、インスリンというホルモンがそもそも動物の組織を成長させる働きを持っており、各種のがん細胞についても増殖させてしまうのではないかという疑いがあります。
そして、肥満は高インスリンと高血糖を招きやすいわけですから、発がんのリスクを高めていると考えられます。
まだ糖質制限食のがん予防効果は研究途上にあるため、明確な科学的証明については結果待ちの段階ですが、発がんのリスクであるこの三つの要素(高インスリン血症、高血糖、肥満)を解消することについてははっきりと科学的に確認されており、理論的には非常に有望 だと見なされているわけです。
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